今年のノーベル化学賞は二人の女性が受賞しました
その業績は
「遺伝子を改変するゲノム編集技術の開発」
ゲノム編集って
動物や植物の遺伝子を狙い通りに壊したり挿入したりできる技術
農作物の品種改良に利用されたり
人にも使用が考えられ始めてるそうです。
人への応用はこれからますます議論の対象になっていくのだと思います
それで
これにあたって今日の朝日新聞に福岡伸一さんが投稿していました
福岡さんは
生物学会の池上彰さんのような人だと私は勝手に思っています
細胞の話、遺伝子の話、DNAの話を一般人がにわかりやすく教えてくれます
本も何冊か読みましたが
その表現が文学的でもあって読み物としても面白い
細胞のノンフィクションストーリーを読んでいるような感じです
ちょうど昨日からこの本を読んでいます
この本は対談集ですが
一番最初は内田樹さんとです
この方はすぐに脳の知的導火線が発火するので
福岡先生となら発火力、申し分ないことでしょう
ああ!!ここでも、また!!ここでも火がついてる~~
という感じが文面から伝わってきます
伸一先生はそれを知ってか準備周到で臨んでいたようです
スライドを用意して脱線し過ぎないように内田さんを先導してます。
福岡先生の言葉です
マウスの実験から、食べ物をとってもその重量の分だけ体重は増加するということはない
一部はエネルギーとして代謝され、半分以上は全身のあらゆるところに溶け込んでいく
細胞は自らを創り出す事ではなく、壊す事の方に多くのエネルギーを使っている
使い物にならなかったから壊すのではなく、出来たはしから、新品同様でもどんどん壊していく
壊していくことで新しいものを作っている、秩序を維持している
細胞は壊して変わることで(細胞そのものもそれによって形成される固体も)変わらなさを保っている
だから
変わることが変わらない方法だ
これが先生命名の
動的平衡
そして
私たちの生命活動、細胞の働きには
因果関係がないといえる のだそうです
原因が結果となるのが私たちの脳での理解だけど
原因と結果は絶えす逆転し相補関係にあってどちらが先でどちらが後に起こるということは特定できない
って
つまり
状況に応じて常に細胞は柔軟に変化しているのです
そもそも細胞は機械の部品のようなものではなくて
ジグソーパズルのように並びながらも互いに他のピースとやり取りしていて
パズルのピースが一つ欠けたら
まわりを囲む他のピースがそこに在るべき細胞を憶えていて
それを再生すべく働くのだそうです
細胞は互いの空気を読みながら欠落を補い続けている
全身で、すごいスピードで、です
因果関係とか入り込まないくらいのスピードなんだろうなあ
そもそも
人間の頭が、体を理解しようとする言葉ではまとめられないってことなんでしょうか
だから
次第に花粉症の薬が効かなくなるばかりか
それが症状をひどくする場合だってある
食生活に気を使っている人がガンになることもあるし
何の心当たりもないのに脳梗塞になった友人がいる
福岡先生は
そんな生命の摩訶不思議さを
わかりやすい言葉でとらえようとしてくれます
動的平衡
砂上の楼閣で辛うじて在る私たちの体
なんて
的確なんでしょう!!