きちんと読み切ったのはこれが初めて
佐藤優
今は作家として著書が沢山あるひと。
もと外務省主任分析官だったけど背任と偽計業務妨害容疑で逮捕されて有罪となり
拘置所にいたという経験も。
そこで膨大に本を読んでその後作家に。
週刊誌にもよく連載があるので短い文章は読んだことがあります。
あとは2冊くらい読み飛ばした本もあったけど
これは面白くて難しくて頭ひねって 🙄 ・・・・・とにかく読み甲斐がありました
この本は
佐藤優の書下ろしではなく
「一からわかる資本論」
という彼の人気講座を活字化したもの。
佐藤の講義でのしゃべりの内容が文字になったものです。
マルクスの資本論て、どんな内容なのか読んでみたいけどその難しさすら知らない私でしたが
難解でとっつきにくい資本論を読み解いていくことには意味があるんだ!
ということがわかりました。
例えば
資本主義が生み出した価値観を知る
これには意味があります!
私たちの世界の根底にもなっている資本主義は
二つの商品によって成り立っています
その商品とは
労働力と株式
私たちの労働力は商品として提供することでそこに価値が生まれる
でもその労働力は貨幣で作り上げることは出来ないものです
一人一人の人間の労働への準備、意欲、継続は貨幣によって左右しきれるものではないから(ある水準までは可能だけど)
それから
株式という、貨幣でもないものが、それを持っていることで利潤が発生するという、これまた商品
皆が株式を、利子を含む額面以上(または以下だとしても)の貨幣に相当する価値があと信じている
これはどちらも実体のない物だけど
これを強く信じて当たり前のもの、変えられないものと思い込んでいる
この信念によって資本主義は成り立っている
そのように解釈することが出来るのですね。
一万円札は
その実質は22円で出来る紙切れなのだそう
それを
皆が一万円の価値のあるものとして誰もが疑わないでいる
そういうものなんですね。
佐藤さんは6回の講座で資本論全3巻を読み解くという偉業をしてます
資本論て様々な解釈がされているようでどれを読むかが問題でもあるみたい。
その解釈の違いの説明も入ってます。
そうして資本論を客観的にみながら
資本論の中の重要点、いわば山のピークを飛行機で移動するように解説して谷間を外して最短距離でナビゲートしている
それから
数ページに数回、「このことを知るにはこの本とこの本がおススメ」とか
本の紹介数が半端なく多い!
また
この点は〇〇派と△△派でこのように解釈が異なっている
けど
自分このように考える派である、と持論が入ったり、
あと
自分の豊かな人脈(官僚から学者、作家からホリエモンまで)やこれまた稀有な経験(ロシアの様子や拘置所のご飯などなど)を踏まえて話したり
ブラックジョークいっぱいで会場がしょっちゅう(笑い)に包まれている
ホントに
知り尽くした人でしか話せないであろう自信がみなぎっている
知の巨人と例えられるのも大いに納得
資本論を読み解くという目的のひとつが冒頭にお文章にあったのでここに引用します
私たちにとって重要なのは
なぜ日本の社会の中で私たちが生きにくくなっているのか、それは読者の努力が足りないからではなく、資本主義というシステムに根源的問題があるという現実を総合知(科学)を駆使した理論によって理解してもらうことだ
この本を読むと、あなたの人生がどうして苦しいかについて、その原因の6割が解明されると思う。原因が分かれば、解決に向けた新たな現実的戦略を構築することが出来る。