山を目指すということは

穂高から槍ヶ岳の縦走を終えて今日で一週間。

その圧巻の景色と、触れた岩の質感、落石がもたらす音、体中に吹きすさぶ強風にバランスを失う恐怖、ルート不安による焦燥感

まだありありと感じられます。

たった2日間の中で、数か月以上に匹敵するような感覚の刺激を味わいました。

そして

帰宅してからすぐ

この本を読みました。⇒可児市の図書館にあります

 

著者の宮田さんは

奥穂高の近くの穂高小屋のスタッフをしながら山で遭難救助に12年奔走された方。

穂高岳山荘 – 奥穂高岳の登山ガイド

この本には

宮田さんがレスキュー隊員として成長していく様子と

山小屋の日々の様子や遭難救助の現場の実際が記されています。

現場の話は非常に面白い。語り口も臨場感バリバリで読み始めたら止まらない!

リスクマネジメントとして心がけたいこと(登山道でのすれ違い方や自分都合の行動)

登山の時の「覚悟」とは何か

も書かれていて、身が引き締まる思いがしました。

以下青字は本文の引用です

「覚悟」

誰も山で死のうなんて思っていません。でもぼくやあなたが山で命を失うことは起り得ます。その「覚悟」は持つべきでしょう

何も死ぬことへの覚悟をしろというのではないのです。必要なのは生きるための「覚悟」なのです

それはしっかりとした事前の準備であり、注意深い行動であり、山への畏れであり、断固として無事に山から帰るという強い思いなのです。

「両極こそが魅力」

美しさと厳しさ、気高さと激しさ、畏怖と優しさ。

そんな相反することが穂高では矛盾することなく存在します。

そしてどうしようもなく穂高で起こる悲劇の数だけ、それに立ち向かう熱い思いと行いもあるのです

レスキューの実話は、私が今回歩いたルートやその付近で起きたことだったので他人事でない感じがしました。

ジャンダルム登頂時、私はまさにその現場に出くわしました。

見ているこちらもとても緊張しました。

 

映画のような救出劇の成功もあれば、救助という目的を手放す必要もある。

レスキューの実話は深刻で残酷なのに、宮田さんの語りにはどこかユーモラスも感じられます。

風雪の中、遭難者3人のうちの一人だけの命を何とか救助できたとき

「私もついでに助けてもらえませんかっ」

って

自己申告してきたおじさんの話は笑えました( ´艸`)

 

この本、

私はすでに2回読みましたが、2回目でも感涙(´;ω;`)

宮田さんの山への愛や登山者への愛、仲間への愛にあふれているから、、、

最後のほうに

亡くなったアルペンクライマーの友人への追悼文がありました。

その純粋さゆえに、その誠実さゆえに、彼ら「アルペンクライマー」にとっては、登ることがすなわち生きるということになるのです。

死ぬことを恐れて本当の意味で生きることの難しくなったこの世界で、彼らほど誠実に生きている人たちを僕は知りません。

誠実に命と向き合おうとすればするほど、その行いは激しさを増していってしまう。

そこには死という究極のリスクが存在します。それを承知のうえでなお登る「アルペンクライマー」という者たちはどうしようもない業の中にいるといえる

彼らの行いに共感する宮田さんの姿勢に

私はなんだか感涙しました。

それは自分の心のうちに

「アルペンクライマー」とは比べ物にならないレベルのものだけど

同じような“業”があって

それを宮田さんに受け入れてもらった

そんな感じがしたからです。

 

またいつか穂高に行こう!